~コスパ良すぎ!超破格のフリーきっぷで行く乗り鉄旅、三陸のローカル線を巡るモデルプラン旅行記
乗り鉄して旅先で駅弁を食べる。鉄道旅行の醍醐味ですよね。
今回の旅のルートは、「BRT」「三陸鉄道」、そして「JR山田線」を全線乗りつぶして、ご褒美に幻の駅弁「うに弁当」をいただくという、けっこうガッツリな鉄旅プランです。なので、乗り物好きじゃない方にはおすすめしません(笑)。
2020年に「三連休東日本・函館パス」(現在は発売終了)を使って行った旅程を、2023年版にアレンジしてご紹介します。「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」を使えば、とてもお得に回れますよ。
※「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」の詳細はこちら
2泊3日の旅程は?
できるだけ余裕を持って、ゆったりできる旅程を組みました。とはいえ、乗り鉄仕様なので、乗り物に乗っている時間は長いです。
【1日目】
06:04 | 08:12 | 東京駅ー古川駅 やまびこ51号 |
08:23 | 08:35 | 古川駅ー小牛田駅 JR陸羽東線 |
08:45 | 09:00 | 小牛田駅ー前谷地駅 JR石巻線 |
09:03 | 09:26 | 前谷地駅ー柳津駅 JR気仙沼線 |
09:42 | 11:31 | 柳津駅ー気仙沼駅 気仙沼線BRT |
散策 | ||
13:43 | 15:07 | 気仙沼駅ー盛駅 大船渡線BRT |
散策 | ||
16:49 | 17:36 | 盛駅ー釜石駅 三陸鉄道 リアス線 |
◆奇跡の一本松プラン
高田松原復興祈念公園の津波伝承館や奇跡の一本松を見学し、隣接する道の駅 高田松原で食事をとることができます。
(気仙沼)11:57ー12:30(奇跡の一本松)14:16ー(盛)15:07
◆もっと乗り鉄プラン
釜石駅の到着が遅くなりますが、大船渡線の鉄道区間である一ノ関まで往復することもできます。
(気仙沼)12:23ー13:42(一ノ関)14:17ー15:41(気仙沼)16:12ー17:36(盛)18:20ー19:07(釜石)
【2日目】
07:41 | 10:01 | 釜石駅ー盛岡駅 JR快速はまゆり2号 |
休憩 | ||
11:09 | 13:30 | 盛岡駅ー宮古駅 JR快速リアス |
休憩 | ||
14:13 | 15:39 | 宮古駅ー釜石駅 三陸鉄道 リアス線 |
休憩 | ||
16:21 | 18:29 | 釜石駅ー宮古駅 三陸鉄道 リアス線 |
【3日目】
06:55 | 08:32 | 宮古駅ー久慈駅 三陸鉄道 リアス線 |
三陸リアス亭 「うに弁当」を購入 | ||
09:17 | 10:38 | 久慈駅ー鮫駅 JR八戸線 |
蕪島観光 | ||
12:03 | 12:32 | 鮫駅ー八戸駅 JR八戸線 |
八戸駅 「三八弁当」を購入 | ||
13:07 | 16:04 | 八戸駅ー東京駅 はやぶさ24号 |
◆ふらっとプラン
自由席のある新幹線であれば乗り降り自由ですから、例えば、ふだんは絶対に降りることのないであろう駅に、ふらっと降りてみることもできちゃいます。見知らぬ街で新たな出会いを期待!?
※今回の旅程では、BRT気仙沼線の気仙沼駅前~上鹿折駅前間、BRT大船渡線の陸前高田~陸前矢作間は乗車していないので、「完全乗りつぶし」ではありません。予めご了承ください。
東北新幹線で古川へ
朝食から旅気分を満喫しましょう!東京駅構内の「駅弁屋 祭」には、全国から駅弁が集結しています。ガッツリ肉系駅弁も良し、ヘルシーな野菜系駅弁も良し、彩り鮮やかな海鮮系や幕の内、サンドイッチも良いですね。
今回の旅程は、東北新幹線で古川へ。陸羽東線で小牛田(こごた)へと向かいます。小牛田へは仙台から東北本線で向かう方が便利なのですが、せっかくのフリーきっぷですから、なかなか訪れるチャンスが少ない陸羽東線に乗車するルートを選びました。
東京から約2時間で古川に到着です。ここから乗り換えまくります。
陸羽東線へ乗り換えて約10分ほどで小牛田に到着。ここで石巻線に乗り換えて約15分、前谷地(まえやち)へ。前谷地から気仙沼線で柳津(やないづ)へ向かいます。前谷地での乗り換え時間は3分しかありませんが、接続がとられているので焦らず落ち着いて乗り換えましょう。
BRT気仙沼線に乗車
前谷地から約20分で柳津に到着します。レールはここで終わっています。ここから先は「BRT」というバスシステムに変わります。
以前は気仙沼駅まで線路が続いていましたが、震災の被害を大きく受けました。いち早く交通手段を確保させるため、時間と費用のかかる鉄路ではなく、BRT(バス高速輸送システム)によって復旧した区間です。
BRTとは?
引用:鉄道用語辞典 https://www.mintetsu.or.jp/knowledge/term/16465.html
バス車両、バス専用道、バス専用車線、バス優先信号などの公共車両優先システム(PTPS)などを組合せることで、速達性・定時性を確保し、輸送力を強化した新しい大量輸送システムのことを「BRT」といいます。 “Bus Rapid Transit” の略語で、日本語では「バス高速輸送システム」と呼んでいます。
柳津駅は鉄道ホームの先がスロープになっていて、BRT専用ホームへと接続しています。
ここから続く道路は一般車両は通行できません。BRT気仙沼線は72.8km、うちほとんどのの区間で線路跡をアスファルトで舗装したバス専用道が整備されています。
早速BRTに乗り込みます。車内はごく普通のノンステップバス、路線バスと変わらない印象です。専用道区間は元々単線だった路盤を活用しているので一車線通行ですが、渋滞がないのでとてもスムーズです。
途中駅はカッコいいバス停留所へとリニューアルされていました。途中駅で行き違い設備があることも、元は鉄道だったことが容易に想像できます。
南三陸町の志津川駅周辺では一般道を走ります。役場や病院を経由するので地元の公共交通機関として活躍しているようです。柔軟にルートを変更したり、駅(停留所)を増設することが用意なのもBRTの利点なんですね。
途中、トンネルを抜けたり、海が見えたり、目まぐるしく変わる車窓は飽きることがりません。バス専用道と一般道の境界にある遮断機や、気仙沼駅手前のBRTと一般道との踏切は、BRTならではの光景です。
一方で、10年以上経った今でも残る震災の爪痕、整備中の街並みの姿も垣間見ることができます。震災の壮絶さと、復興への歩みを進める現地の方々の力強さ感じることができました。
1時間50分ほどで、終点の気仙沼に到着します。
バスがメインの気仙沼駅
気仙沼駅の構内はバスと鉄道が同じ敷地内に乗り入れる斬新な構造です。かつては3方向に鉄道路線が発着していましたが、震災からの復旧にあたり2方向がBRTに転換されました。鉄道は大船渡線の一ノ関方面のみが残っています。
鉄道時代と比較して2倍~3倍近い便数のバスが発着するようになったBRTの方が活気があるように見えます。
今回の旅程では気仙沼駅をじっくり見学し、昼食をとるプランにしました。
気仙沼駅は高台にあるので、駅周辺は津波の被害はなかったようです。中心市街地から離れた場所のため、飲食店は多くありません。それでも駅前に小さな食堂と喫茶店があり、駅舎内にコンビニと待合室もあるので、軽食であればここで済ませることもできます。
駅前の観光案内所でレンタサイクルができるので、自転車で気仙沼の街に繰り出しても良いですね。
◆超!幻の駅弁「ハモニカ弁当」
桃鉄にも登場する「黄金龍のハモニカ飯」。気仙沼駅の売店NewDaysで、月に1回だけ、第3土曜日にしか販売されない、日本一入手困難!?とも言われる駅弁です。もしタイミングがあえば、ぜひ召し上がってみてください。
《問い合わせ》0226-22-5370 《営業時間》6:30~19:30
BRT大船渡線に乗車
気仙沼からは陸前高田を経由し盛(さかり)まで、BRT大船渡線に乗車します。気仙沼を発車したバスはしばらく専用道を走行しますが、ほどなく一般道に下りました。
気仙沼線はバス専用道をスイスイ走行した印象ですが、大船渡線は一般道を走行する区間が多いことに気づきます。調べてみると、専用道の割合は50%未満で、これは市役所や病院、高校、仮設住宅や商店街などの近くに駅(停留所)を新設し、市街地の利便性を高めた結果とのこと。
陸前高田駅、大船渡駅周辺の中心市街地はまだまだ更地が多く、かつてここには商店や住宅が立ち並んでいたことを思うと、被害の甚大さを感じずにはいられませんでした。
陸前高田の市街地を抜けると、再び専用道区間へと入りました。前面展望からはバスが近づくと信号が変わったり、遮断機が上がる光景がなかなかおもしろいです。バスがシステムで管理されている様子はちょっと近未来的な感じがします。
気仙沼を出発して約1時間30分で盛駅に到着です。
大船渡線は43.7kmですから、気仙沼線の6割の路線長に、ほぼ同じ数の駅(停留所)が設けられています。地域の足として利便性が高いBRT大船渡線ですが、もう少し時間短縮ができれば、都市間を結ぶ長距離交通としての機能が高まるかもしれないと感じました。
盛駅は見どころがいっぱい!
盛駅はBRT大船渡線と三陸鉄道リアス線が接続するターミナル駅。構内は気仙沼駅と同様に、バスと鉄道が同居していて、BRTのバスは元鉄道ホームだったところに停まります。
実はこの盛駅、鉄道好きにはたまらないスポットがたくさんあるんです。90分ほど時間をとってゆっくり散策します。
駅前に出るとJRと三陸鉄道の2つの駅舎が並んでいます。そのすぐ脇にある駅の東西を結ぶ歩道橋に向かいます。
まず見える光景が盛駅構内。元鉄道部分を舗装してできたBRTホームと、三陸鉄道の鉄道ホームの構造がよく分かります。
反対側を見ると、先ほど通ってきたBRTの専用道、並走する三陸鉄道の線路と車両基地、さらにその隣には、貨物輸送の岩手開発鉄道の貨車と線路を見ることができます。
盛駅はホームの東側にたくさんのレールと貨車が並んでおり、人だけでなく貨物のターミナルでもあるんです。街の奥にある鉱山から、港近くのセメント工場まで石灰石を運ぶ役割を担っているのが岩手開発鉄道です。NHKの「ブラタモリ」でも紹介されていましたね。
岩手開発鉄道はここ盛駅から先、岩手石橋駅までの間 9.5kmを旅客営業していたことがあります。1992年を最後に旅客営業は廃止され、いまは貨物専用になっていますが、その当時の盛駅のホームが構内の隅っこに残っているんです。
駅の北側の踏切にまわるとはっきり見ることができます。駅施設への立ち入りは禁止されていますが、ホーム、駅名標、待合室がきれいに残っていました!
そして、BRT専用道と三陸鉄道の線路がぶっつり!途切れるところはいかにも終着駅ならではの光景です。
盛駅を十分堪能したところで、三陸鉄道で釜石駅へと向かいます。
盛地区は高台にあるため、津波の被害がなかったようです。駅施設はもちろん、周辺には古き良き昭和感の残る街並みが残っています。小腹がすいたら徒歩10分圏内に個人で経営されている喫茶店や飲食店が散在していますので、訪れてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、駅北側の踏切から徒歩2分の「The Burger Hearts」さん、おすすめです。
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ここまでのまとめ
今回、BRT気仙沼線、BRT大船渡線を走破しました。
速達性を求めた気仙沼線は専用道メイン、市街地の利便性を高めた大船渡線は一般道メインと、同じBRTでも2路線では対称的な取り組みをしているのが驚きでした。地元のニーズに合わせて方向性を変える運用ができるというフットワークの軽さも、BRTのなし得ることなのかもしれません。