~おひとり様にうれしいハーフサイズの一品料理と好印象のスタッフに大満足
年末、夕方早めに新宿西口での用件を終え、ちょっと一杯飲んで帰ろうかという気分ではあるが、実は一人飲みが大の苦手な私。たまに飲みたい気分になることはあっても、結局のところ知らない店に一人で入れず帰路につく。
だが、どうしたことか、今日ばかりは「絶対どこかで飲んで帰るぞ!」という意味不明な使命感にかられており、一人で入れそうな居酒屋を探すことにした。
新宿駅に向かいながら歩いていると「思い出横丁」なる狭い路地があった。昭和の雰囲気が漂い、小さな居酒屋が軒を連ねている。よし、ここでどこかの店に入ろうと決心し、店の様子を伺いながら歩く。
たまたま入口のテント席に料理を持って出てきたお兄さんと目が合った。
「いらっしゃい!おひとりさまですか、どうぞ!」
これは明らかに何かの縁に違いないと信じ、勇気を出して入ることにした。
お店の名前は「ばんしゃく家」。入口すぐのカウンターに通される。店内は8席ほどのカウンターとその後ろに2人用の小さなテーブル席が3つ、奥にもテーブル席があるようだ。モニターで2階の様子が見えている。決して広いとは言えないが、昭和の居酒屋感の雰囲気と相まって悪くない。そのうち、どんどん席は埋まり、いつの間にか満席になった。
とりあえず生ビールを注文。お通しが2種類盛ってありちょっとうれしい。メニューを見ると一品料理のいくつかに「ハーフサイズ」がある。500円以下のリーズナブルな値段で、少しずついろいろツマめるのは、おひとり様にとって非常にありがたい。
腹は減っているので、家飲みではあまりお目にかかれない一品から攻めてみる。栃尾揚げの味噌漬けがあるではないか!以前食べたことがあるが、厚揚げかというくらい分厚い油揚げだ。こんなところでお目にかかれるとは!そして、あん肝ポン酢とイカ小僧刺しを注文する。
栃尾揚げがやってきた。鰹節とネギがトッピングされている。そのままでもいいがちょっと醤油を加えてかぶりつく。甘味噌にしっかり漬かった巨大油揚げ、やっぱりうまい!あん肝とイカ小僧刺しはちょうどよいサイズ。あん肝のとろける感がたまらず、小声でうなってしまった。小僧刺しはスルメイカなのでコリコリ感があり、あん肝との対称的な食感がおもしろい。
メインは焼き鳥盛合せが串5本でちょうど良さそうだ。そして野菜も食べておこう。これは個人的なことだが、野菜を食べておけばカロリーやら食べ過ぎやらといった罪悪感が不思議となくなるのだ。カニみそキャベツ炒めも追加。2杯目のハイボールと一緒に注文する。
焼き鳥はねぎまなど人気の串5本。ジューシーでハイボールと良く合う。そしてカニみそキャベツ炒め、失礼だがこれが想定外に絶品!正直、値段からして多少カニみその風味がついているくらいだろうとイメージしていたのだが、がっつりカニみそ味!出てきたときは量が多いかと思ったのだが、あまりにうまくてペロッと完食。さらにエキスが凝縮した残り汁の最後の一滴まで残したくないと、白ご飯を追加して汁をかける行為にでる。ああ、最高にうまい!次は迷わずカニみそキャベツ炒め丼にして〆めようと心に決めたほど。
話は変わるが、この店には日本人スタッフ以外に外国人スタッフもいる。まだ新人さんのようだが、一生懸命に接客している。日本人スタッフも時折つたない英語を混ぜながらレクチャーしている。第二外国語を学び、それで仕事をすることがどんなに大変なことか、身をもって知っている私には、そんなスタッフの姿がほほえましく、こちらも元気をもらう。
満席で忙しそうではあるが、店全体がどことなくほっこりしている気がする。人柄だろうか、自然体で丁寧な接客が心地いい。
冬季限定でおでんも気になるのだが、今日はすでにお腹いっぱい。次回必ずいただきます。
いやいや、一人で飲んでも十分に楽しいではないか。子供かと思われるかもしれないが、ちょっとディープな雰囲気が漂う新宿・思い出横丁で、一人飲みできたことが、なんだか小さな冒険でミッションを達成したようで嬉しい。今回をきっかけに、これから一人飲みの機会が増えるのは間違いなさそうだ。
【店舗データ】
ばんしゃく家
東京都新宿区西新宿1丁目2−2 思い出横丁線路側
ホームページ
≪アクセス≫ 新宿西口駅徒歩1分、JR新宿駅西口徒歩3分 思い出横丁の線路側
※価格は訪問時のものです