~「万事屋(よろずや)」産地直送!三陸産と広島産の牡蠣を、料理によって使い分けるこだわりの店
ここは信州松本。3000メートル級の山々が連なる北アルプスの麓に栄えた、歴史ある城下町。
自然豊かなこの地でワーケーションを試みている。やってみて分かったのだが、普段とは異なる環境だからか、新たな発見や着想を得ることができてなかなか良い。
そんな中、1つだけ私を悩ませることがあった。
「ご飯をどこで食べるか?」問題である。
松本にはおしゃれカフェやランチ、ディナーの店が多く、有名店を巡るのはもちろん楽しい。しかし、毎食おしゃれが続くとなると逆に疲れてしまうもの。
「今日は気兼ねなく飲み食いしたい」と街を歩いていると、ふと目に留まった「牡蠣食べ放題」と書かれたのぼり。
「ここは海なし県のど真ん中、山々に囲まれた松本で、牡蠣を食う???」
これはまったくもって、松本で食べることを予想もしていなかった食材だ。
店構えは今日のテーマ「気兼ねなく飲み食いする」にはよさそうな雰囲気。広島の牡蠣王国で生まれ育った私、半分興味本位で入ってみた。
店の名は「海鮮居酒屋 万事屋(よろずや)」。
「いらっしゃいませ、お一人様ですか、どうぞ。」と笑顔で招いてくれる若いお兄さん。刈り上げパーマの大胆な髪型だからか、一瞬やんちゃ系⁉かと思いきや、しっかりした言葉遣いでとても丁寧な接客。印象はすこぶる良い。
店内は広め、シンプルなレイアウトで、全体的に余裕のある空間が心地良い。壁には思い思いの夢が書かれていたり、クスっと笑える告知が掲示されていたりと、オリジナリティあふれる作品(?)がそこかしこにあっておもしろい。
私はこの後に執筆が1本残っていたので、ひとまずノンアルコールビールにしておく。
と同時に、ストレートに疑問をぶつけてみた。
「松本で牡蠣って、本当に大丈夫なの?」
「南三陸の石巻から毎朝水揚げされて、新鮮なまま直送されてくるんです。地元の漁師さんと契約して直接仕入れていますから、お安くもご提供できるんです」
なるほど、独自の仕入れルートと、現在の配送技術をもってすれば実現可能なのだと理解できた。
「食べ放題もできますし、一品料理でお出しすることもできます」
生牡蠣、焼き牡蠣、蒸し牡蠣は1個から注文できるし、他の料理もつまみたかったので、アラカルトでいただくことにした。ふと、メニューを見て気づいたことが。なぜかカキフライだけ「広島産」と書いてある。
「カキフライは広島産がおいしいんです。産地によって味が違うんです」
料理によってよりおいしい牡蠣を使い分けるとは、牡蠣料理へのこだわり、研究熱心な姿勢に感心した。早速オーダーする。
まず蒸し牡蠣をいただく。実は食べるまで本当にうまいのか若干疑っていたのだが、口にいれた瞬間、その不安は一気に吹っ飛んだ。
「美味しい!」
濃厚な味わいながら、牡蠣独特の臭みもまったく感じない。いやはや、これは参った。予想以上にうまい。
カキフライはサクサクの衣にギュッと詰まった牡蠣がゴロっと。これまたうまい。(カキフライ写真撮り忘れ)
さらに、松本が誇る石井味噌さんの信州三年蔵赤味噌を使用した牡蠣の味噌漬け。地元の名産を使った一品をメニューに加えるあたり、松本への愛着を感じる。広島の郷土料理に牡蠣の土手鍋(味噌鍋)があるように、牡蠣と味噌は抜群の相性なのだ。
※「石井味噌」さんはこちらを参考にしてみてください。
ちょうどオープン1周年だそうで、限定メニューのだし巻き玉子もいただいた。本気で驚いたのだが、玉子焼きなのにふわとろ、お箸で食べられるギリギリのやわらかさ。このお兄ちゃん、なかなかの腕前です。
他のお客さんが少しひいたときに、お兄ちゃんと少し話ができた。このお兄ちゃん、なんと店長だった!若干25歳で店舗経営している。失礼ながら、かなりのしっかり者のようだ。
22歳のとき、経営者養成セミナーで知り合った同志と石巻を訪れた際に、初めて食べた生牡蠣の美味しさに衝撃を受けたとのこと。その後、この松本で「かき小屋」の経営を任されることになり、牡蠣に運命を感じたそうだ。2021年9月、旧かき小屋から百事屋としてリニューアルオープンしている。
松本市の地域活性化事業などイベント関連にも積極的に携わっており、その若さとあふれる情熱に感動すら覚えた。
松本駅の近くで一人でも入れる居酒屋を探して、海なし松本で牡蠣?と半分興味本位で入ったのだが、こんなに美味しく牡蠣が食べられるとは、正直言って驚いた。
「牡蠣は本当に栄養が豊富で、免疫力アップ、精力増強、美肌効果、体内の酵素を活性化させるといった効果があります。健康のため、美容のため、松本の皆さんに美味しい牡蠣を召し上がっていただきたいです」
店長が一人で切り盛りしている日も多いようで、ピーク時には料理を待つ時間が多少あるようだ。しかし、おいしい料理と楽しい空間によってまったく気にならない。そして何よりも、丁寧な接客と、あふれ出る情熱をおすそ分けしてくれた店長にありがとうと言いたい。
「必ずまた来よう!」
なんだか清々しく、嬉しい気持ちでお店を後にできる、そんな居酒屋と巡り会えた。
【この人~出会い~】
齊藤優作さん
長野県で生まれ育つ。「栄養たっぷり、美味しい牡蠣を、ぜひ多くの方に召し上がっていただきたい」と語る、若き居酒屋経営者。作業療法学や生理学の知識を持つ、異色の経歴の持ち主です。
【店舗データ】
海鮮居酒屋 万事屋(よろずや)
長野県松本市中央1丁目27−15 ロワール中央ビル1階
ホームページ
≪アクセス≫ JR松本駅から徒歩5分
※ホールスタッフ大募集中だそうです。詳しくはホームページを参照。
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松本で見つけたお土産
信州りんごバターサンドクッキー|手頃なお値段ながらおいしいです!個包装で食べやすく、赤いパッケージも可愛らしいので、お土産にぴったりです。