~時をかける少女、マッサン、たまゆら…数々の作品のロケ地となった、町並み保存地区を訪れてみた
安芸の小京都と呼ばれる広島県竹原市の町並み保存地区を散策してきました。
瀬戸内海に面したこじんまりとした街ですが、実は、映画やCM、アニメなどのロケ地として使われることも多いので、初めて訪れても「あれ、どこかで見たことあるかも!?」という風景があるかもしれません。
見どころはギュッと詰まっているので、ランチやカフェの時間も含めて2~3時間あれば十分に見て回ることができます。
広島県や瀬戸内エリアを公共交通機関を使って旅してみたい方の参考になれば嬉しいです。
竹原・町並み保存地区へ行き方
【広島から】
広島バスセンター、八丁堀、広島駅から、高速バス「かぐや姫号」に乗車。所要時間は80~90分ほどです。町並み保存地区へは「道の駅たけはら」バス停が最寄りですが、「竹原中央」「竹原駅」の各バス停からでも徒歩10分ほどで行くことができます。
【広島空港から】
竹原行きの9人乗りジャンボタクシーが運行されています。「道の駅たけはら」バス停までは30分ほどです。
■アクセス詳細・時刻表はこちら
→ 広島ー竹原 高速バス「かぐや姫号」
→ 広島空港ー竹原 ジャンボタクシー
【呉方面から、尾道・三原方面から】
JR呉線 竹原駅で下車。最寄りとなる「道の駅たけはら」バス停までは、芸陽バス(竹原フェリー(フェリー前)行き、忠海行き、三原行き)の乗り換えて約5分です。竹原駅からは徒歩でも10分ほどで行くことができます。
■アクセス詳細・時刻表はこちら
→ 竹原駅ー竹原フェリー(フェリー前)
竹原駅~町並み保存地区の見どころ
「あいふる316商店街」
竹原駅を出てすぐ正面にある商店街。残念ながらいまはシャッターが下りているお店が多いです。目下、賑わい空間再生事業「竹原駅前エリア ウォーカブルビジョン」が動き出したそうです。
「ももねこ様」
アニメ「たまゆら」のサブキャラクター。まんまるでピンク色の不思議な生物でいちおう猫らしい。思いのほか大人気となり、ももねこ様の像が商店街の中心に作られています。
「新港橋」
町並み保存地区、道の駅たけはらのすぐ手前にある、本川に架かる国道上の橋。昔はこの辺りから塩や酒を舟で運んでいたそうで、ここからの眺めはレトロな雰囲気を存分に醸し出しています。
「竹原」ってどんなところ?
広島県竹原市は瀬戸内海沿いにある人口2万人強の小さな都市。竹原という名のとおり、竹細工や竹炭など竹製品の生産が盛んで、なんと街路樹も竹という徹底ぶり。タケノコは名産品の1つです。
その中心部は、古くは瀬戸内地方の交通の要衝として、また製塩業や酒造業を基盤として栄えました。
今の市街地の大半は、昭和30年代まで広大な塩田だったところを埋め立てて形成されたそうです。一方で、古くから栄えたエリアには、江戸時代中期から明治時代に建てられた、豪商たちの住居や建物が数多く残されています。
そこはまるでタイムスリップしたかのような光景。近年では数多くのテレビドラマやCM、映画のロケ地、アニメの舞台になるなど、撮影スポットや作品の聖地巡礼としても観光客が訪れるようになっています。
正式には「重要伝統的建造物群保存地区」というのですが(漢字が並んで読みにくいので)、「町並み保存地区」と紹介させていただきます。
「道の駅たけはら」が拠点
「道の駅たけはら」はちょうど町並み保存地区の入口付近にあります。JR竹原駅、竹原港からバスで数分、徒歩でも10分ほどですので、町並み観光の拠点にするにはとても便利です。
災害時の避難場所として防災拠点の機能を併せ持っているため、建物に派手さはありませんが、観光情報を得られるほか、地元の特産品や日本酒、お土産を買ったり、休憩したりできます。
ここでぜひ食べておきたいグルメが「竹原たけのこのテリヤキ 牛コロッケバーガー」、通称「竹原バーガー」です。1階の食事処あゆむ、もしくはソフトクリームハウスで購入できます。
米粉のもちもちバンズに、タケノコのコリコリ感、竹原のブランド牛肉「峠下牛(たおしたぎゅう)」の粗挽き肉を使用した牛肉コロッケのしっとり感が、テリヤキソースと相まって、とてもおいしいです。
【店舗データ】
道の駅たけはら
広島県竹原市本町1-1‐1
ホームページ
≪営業時間≫ 9:00~17:00 (食事処あゆむ 11:00~15:30) 第3水曜日休み
≪アクセス≫ JR竹原駅から徒歩約10分、道の駅たけはらバス停から徒歩1分
小腹を満たしたら、早速、町並み保存地区へと向かいます。
「町並み保存地区」を散策する
道の駅から徒歩で3~4分ほど歩くと、急にタイムスリップ空間へと変貌します。
メインストリートの「本町通り」は約350m、「大小路」「板屋小路」「中ノ小路」などの路地を含めても、そんなに広くないエリアに、古き良きノスタルジックな建物がたくさん残されています。
ここに残っている江戸時代から明治時代に建てられた建物の多くは、商人として成功した人たちの、いわば豪邸だったりするわけです。だからこそ、各建物には当時のお洒落やこだわりを垣間見ることができます。
その1つが格子です。繊細な彫刻が施された格子は、そのデザインを競い合うかのように各家でオリジナリティを出しています。中でも「松阪邸」の「ハート型の格子」は、嵐が出演したCMで話題となりましたね。
■詳細はこちら
→ 竹原市公式観光サイト
「マッサン」が生まれたところ
2014年に放送されたNHKの連続テレビ小説「マッサン」。日本のウイスキーの父と呼ばれる、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と、妻リタをモデルにしたストーリーは、多くの人に感動を与えましたね。
その竹鶴政孝の生家であり、江戸時代から続く「竹鶴酒造」が、ここ竹原で今も営業を続けています。
ここから少し先にある「憧憬の広場」には、竹鶴政孝・リタ夫妻の等身大の銅像があります。
その広場に隣接して建っているのが「竹原市歴史民俗資料館」です。昭和初期に図書館として建てられた洋風建築ですが、古い街並みにありながら不思議と違和感がありません。主に製塩業の歴史や資料が展示されています。
■詳細はこちら
→ 竹原市公式観光サイト
「西方寺 普明閣」で市内を一望する
本町通りのちょうど中間あたり、山側への路地の先に長い石段が現れます。映画やCMでもよく使われる、絶好の撮影スポットですので、どこかで見たことある方も多いのではないでしょうか。
この石段は「西方寺」へと続き、その境内には竹原のシンボル「普明閣」があります。京都の清水寺を模して建立されたお堂で、ここから竹原市街地を一望できます。
■詳細はこちら
→ 竹原市公式観光サイト
「ほり川」でいただく絶品お好み焼き
たくさん歩くとお腹もすいてきます。せっかく広島に来たのなら、お好み焼きははずせないグルメの1つです。
西方寺の石段が目の前という絶好のロケーションにあるのが「ほり川」です。築200年を超える醤油蔵を改造した店内、高い天井には大きな梁が組まれ、レトロ感を大いに感じさせます。
ほり川の名物は何といっても「たけはら焼き」。広島風のお好み焼きではあるのですが、生地に純米吟醸の酒粕を練り込んでいて、ふんわりしっとり、やさしい味に仕上がっています。
アニメ「たまゆら」に出てくるシンボル的存在のお好み焼き店、「ほぼろ」のモデルでもあり、ももねこ様グッズも飾られていました。
【店舗データ】
ほり川
広島県竹原市本町3-8-21
ホームページ
≪営業時間≫ 11:00~14:00(L.O 13:30)/17:00~19:00(L.O 18:30)水曜休み
≪アクセス≫ JR竹原駅から徒歩13分、道の駅たけはらバス停から徒歩7分
お腹も満たされたところで、もう少し散策を続けます。
「寺院」の静かで荘厳な空間に佇む
商家が続く本町通りですが、中央にある「西方寺」のほか、北端にある「胡堂」と「照蓮寺」、南端にある「長生寺」もぜひ訪れてほしいスポットです。
本町通りの北側の終点はつきあたりになっており、小さいながらも堂々とした祠(ほこら)が建っています。映画「時をかける少女」やアニメ「たまゆら」の聖地巡礼には欠かせないスポット「胡堂」です。曲線状に反りながら長く延びる屋根がどこかカッコよくもあります。
この胡堂のすぐそばに「照蓮寺」があります。立派な山門と本堂のほか、経済には経堂や小祇園と呼ばれる小さな庭園などがあり、静かで荘厳な空間です。
本町通りの南側、路地を入った奥にあるのが「長生寺」です。石段を上がった先に見上げるように建つ山門が特徴的です。本堂は正面が吹き放ちのちょっと珍しい建築です。境内には金毘羅大権現も鎮座しています。
■詳細はこちら
→ 竹原市公式観光サイト
「酒蔵交流館」で銘酒を味わう
メインストリートを堪能したら、中ノ小路へと入ってみましょう。道に沿って流れる側溝は竹のアーチが並んでいます。10月に行われる「憧憬の路」というイベントではライトアップされて幻想的な光景になります。
その中ノ小路には竹原の三大酒蔵の1つ、藤井酒造の「酒蔵交流館」があります。
江戸時代に建築された築250年の仕込蔵を利用した館内には、無料の試飲コーナーもあり、酒袋でできた雑貨や日本酒に因んだ食品などがたくさん並んでいます。酒粕を使用した石けん「酒花」は美肌効果が期待できて、お土産に人気があるそうです。
また、手打ちそば処「たにざき」を併設していて、お酒とおいしいそばを味わうことができます。
【店舗データ】
藤井酒造・酒蔵交流館
広島県竹原市本町3-4-14
ホームページ
≪営業時間≫ 11:00~16:00頃 月曜日休み ※そば処たにざきは昼のみ
≪アクセス≫ JR竹原駅から徒歩約10分、道の駅たけはらバス停から徒歩6分
隠れた銘酒が勢ぞろい!
竹原には、藤井酒造をはじめ、竹鶴酒造、中尾醸造と3蔵も酒造があります。日本酒好きでしたら、「竹鶴」「誠鏡」「幻」「龍勢」といった銘柄をご存知の方も多いはず。
竹原市のお隣、東広島市「西条」が、神戸の「灘」、京都の「伏見」と並ぶ、日本三大酒どころの1つに数えられているため、その陰に隠れてしまうのが残念ですが。
藤井酒造の「龍勢」は、明治40年に日本政府が開催した第一回全国清酒品評会で日本一となった銘柄です。竹原の酒も西条に負けていませんよ。
竹原駅前に地酒が飲み比べできる スタンディングSAKEバー Climat もあるので、訪れてみてはいかがでしょうか。
「Café青」の手作りスイーツで癒される
たくさん歩いたのでちょっと甘いものがほしくなりました。竹鶴酒造の前から分岐している「掛町通り」にある「Café青」は手作りランチとスイーツが評判のカフェです。
外観は古い土蔵ですが、店内は蔵の中とは思えないほど明るく、和モダンのお洒落な空間です。書道家でもある店主さんの書が飾られていて、落ち着いた雰囲気を演出しています。
ケーキセットをいただきました。真っ白なお皿に美しく盛り付けされた、店主さん手作りのスイーツたち。ケーキは程よい甘さ、シャーベットがスッキリ口直しになり、とてもおいしかったです。
【店舗データ】
Café青
広島県竹原市本町3-9-28
ホームページ
≪営業時間≫ 10:00~17:00頃 火曜日と毎月最終月曜日休み
≪アクセス≫ JR竹原駅から徒歩約10分、道の駅たけはらバス停から徒歩5分
おまけ
最後に、どうしてもご紹介したい追加情報を2つ。
① 旧 日の丸写真館
アニメ「たまゆら」ではシンボル的存在の建物で、聖地巡礼の中でも人気のスポットです。昭和7年頃に建てられた写真館跡で、その佇まいは国土の歴史的景観に寄与していると評価され、国登録有形文化財に登録されています。
② いちかわ菓子舗 掛町店
町並み保存地区の入口にある和菓子店。一見、何の変哲もない昭和の和菓子屋さんですが、ここの上用饅頭(じょうようまんじゅう)が絶品です!上用饅頭は主にお祝いなどの贈答用なのですが、ここでは1個単位で購入できます。山芋と砂糖、米の粉を使ったしっとりとした生地がとてもおいしいです。
【店舗データ】
いちかわ菓子舗
広島県竹原市本町1-3‐1
ホームページ
≪営業時間≫ 9:00~18:00頃 木曜日休み
≪アクセス≫ JR竹原駅から徒歩約10分、道の駅たけはらバス停から徒歩3分
まとめ
町並み保存地区の建物は個人所有で、住民の方が普通に暮らしているということもあり、近代以降に建てられた建築物もちらほら入り混じっています。
観光スポットではあるのですが、地元にちょっとお邪魔しますみたいなちょっとしたディープ感もあり、なかなかおもしろかったです。
その昔、製塩業で栄え、富を築いた豪商たちの邸宅が並ぶ竹原の町並み保存地区。現在では静かにのんびりした時間と空間を過ごすのに絶好の場所となっています。
まだまだ紹介しきれなかったステキなスポットがたくさんありますから、実際に訪れてみて自分の好きな場所を見つけてみてください。
一大観光地の尾道やしまなみ海道、広島や呉を訪れる際には、竹原までちょっと足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
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