No.27 ‐ MAMALAHOE(ママラホエ) キーワードは 同情(折れた櫂)。
バキッと真っ二つに折れている櫂(オール)がメインの図柄という、インパクトのあるカードです。でもネガティブではないですから安心してください。穏やかな水平線が見えますし、花も咲いて蝶も飛んでいます。
右上の小さな花木はカウイラといって、とても堅く耐久性があるため、カヌーの櫂のほか、様々な道具や武器にも使われていました。堅い櫂が折れてしまうってことは、よっぽどの何かがあったのでしょう。
何があったのか?そして、ママラホエとはいったい何だ?
折れた櫂の法律
ハワイには「カナヴィ・ママラホエ(Kānāwai Māmalahoe)」という法律があります。「カナヴィ」が「法律」、カードのタイトルでもある「ママラホエ」は「折れた櫂」という意味です。
「折れた櫂の法律」!?って不思議な名前ですが、とても大切な法律で、1797年にカメハメハ1世によって制定され、 ハワイ州の憲法にも明示されているほどなんです。
戦時における民間人や非戦闘員(戦闘力を失った戦闘員)の保護について定めているのですが、そこには「経験によって学ぶことの大切さ」「他人への思いやり、自分自身を大切にすること」といった人権に関することが書かれています。
なぜ、それが折れた櫂という名前なのか?
この法律が作られた背景を知れば納得できますよ。
【ざっくり言うと】
ハワイ全島を支配する戦いの中、カメハメハ大王のカヌーは、敵対していた村の漁師たちに遭遇し襲いかかった。
漁師たちはカメハメハに魚網を投げた。足をとられ躓いたカメハメハは、岩場の裂け目にはまってしまい、身動きが取れなくなった。
1人の漁師がカメハメハの頭を櫂で勢いよく叩いた。しかし、カメハメハの身体はとても強靭だったので、櫂の方が折れてしまい、漁師はその場から逃げ去った。
なんとか岩場から脱出することができたカメハメハ。何年か後、偶然に櫂で叩いた漁師と対面することになった。
カメハメハは「彼は住処と家族を守っていただけだ」「すべての人は恐れや不当な攻撃から解放される権利がある」と言い、彼を処罰せずに放免した。
この経験が元になり、制定されたのが「カナヴィ・ママラホエ(折れた櫂の法律)」です。
私の同胞達よ。
なんじの神を讃えよう。
偉大な人にも、平凡な人にも、分け隔てなく敬意表そう。
見守ろう、
年寄り達が、女達が、子供達が、
死や隷従や、危害への恐怖を感じることなく、
道ばたに腰をおろし、静かな休息が取れるよう。
(引用)原文訳:Wikipedia
カードにはカメハメハ大王の手が描かれており、その手からは虹が出ていて、蝶を手放しています。海藻のリム・カラは許しの象徴で、魚網や岩場の割れ目も描かれています。
ママラホエからのメッセージ
カメハメハ大王は、強い立場の者も、状況が変われば弱い立場にもなり得る、という経験しました。この経験から学べることが、ママラホエのメッセージです。
共感を忘れていませんか?
相手を許したり、勇気づける時に〈共感〉することが大切だと気がついたカメハメハ。
〈共感〉とは「相手と自分が対等」であり、相手には「自分で問題を解決できるだけの力を持っている」と信じていることが大前提です。そのうえで「一緒に問題解決に取り組んでいこう」と寄り添うことです。
但し、「気の毒だ、かわいそうだ、私が何とかしてあげなければ…」という感情には気をつけましょう。無意識に自分と比較して、相手を下位にランキングさせているようであれば、それは自分のエゴを振りかざすことになります。
ご自愛していますか?
誰でも、弱い部分があります。不安を感じることがあります。失敗もします。心が折れそうなときもあるでしょう。そんなとき、自分自身への〈共感〉を大切にしましょう。弱い部分もひっくるめて、自分自身なんだと。
自分とまったく同じ経験をしてきた人や、まったく同じキャラクターを持つ人は、他には存在しません。
だから、人と比較して優劣をつけたり、他人が作った「普通はこうあるべき」というモノサシで自分を測ることは終わりにしましょう。
まとめ
カメハメハ大王は、自身の苦い経験をもとに、「経験によって学ぶことの大切さ」「他人への思いやり、自分自身を大切にすること」を法律に明文化しました。
たとえ、その時は失敗という結果だったとしても、その経験が役に立つときがやってきます。
「あの時の、あの経験があったから」
自分にも、相手にも、そう共感できるときが必ずやってきます。
成功体験、失敗体験、たくさんしてください。
豊富な経験は自信に繋がります。経験の無さは自信の無さに繋がります。
だから、どんな状況であっても経験することを恐れないでくださいね。
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