~ パノラマビューの大迫力が楽しめる、静かで快適な移動空間。中央本線の特急<383系>グリーン車乗車記。
名古屋から松本、そして長野へ向かう時、JR中央本線・篠ノ井線を経由する特急しなの号が便利です。高速バスより料金は高いですが、時間の速さ、正確さ、快適性で人気の交通手段です。
今回、ちょっと奮発してグリーン車に乗ってみました。特急しなの号で旅行する際に、少しでも参考になれば嬉しいです。
使用車両は383系
特急しなの号で使用されている383系は、JR東海が開発した振子式の車両。登場からすでに30年近く経過していることもあって、やや古さを感じなくもないですが、まだまだ現役です。
基本は6両編成ですが、増結されることも多いようです。グリーン車は最も長野寄りの1号車です。ドアは1ヵ所で後方(2号車寄り)にあります。
383系はカーブを通過する際に車両を傾けて、高速で通過できるように設計されています。
カーブでは振子が作動するので、車両が大きく傾くのを実感できます。
中央本線は山間を走るためカーブが多く、スピードアップのために必要なシステムです。傾く角度やタイミングはコンピューターで制御されています。
先頭車両は2タイプある
特急しなの号のグリーン車は、長野寄りの1号車です。この車両のデザインは2つのタイプがあって、1つは流線型、もう1つは貫通型です。どちらの車両で運転されるかは、その時の運によります。
①流線型タイプ
流線型の先頭車両はパノラマビューになっていて、最前列からは疾走感あふれるダイナミックな眺めを楽しむことができます。
前面展望を最大限に味わうなら、1C・1D(右側)の席がおすすめです。1A・1B(左側)の席は運転席の真後ろなので前面展望はあまり楽しめません。
②貫通型タイプ
貫通型というのは、連結した際に人が通れるように設計されています。前面展望は可能ではありますが、流線型車両ほどのパノラマビューは期待できません。
⚠️パノラマビューが楽しめるのは長野行きの場合です。名古屋行きの場合、1号車(グリーン車)は最後尾車両になります。名古屋方の先頭車両は貫通型で、普通車自由席で運用されています。座席指定はできないので、最前列に座れるかどうかは幸運を祈りましょう。
E353系 グリーン車の座席
車両に乗り込むと、小さくグリーン車のマークがついたドアがあります。
先頭車両なので、車両間を移動する人が行き交うことはありません。
ドアが開くと、客室との間に荷物置場があり、大きなキャリーケースを置くことができます。
荷物置場にはロックはありませんが、客室内にあるので安心です。
荷物置場の先には、ブルーグレーの座席が並んでいます。
昔は「ワイドビュー」と名前がついていただけあって、左右の窓は大きく作られています。さらに、運転席越し前方も開けているので、とても明るく素敵な空間です。
ただ、グリーン車の座席は背もたれも大きいため、2列目以降は前面展望を期待できません。
定員は30名。座席は横2-2の4列ですが、シートピッチは1200mmもあり、普通車より200mm広い。
東海道・山陽新幹線のグリーン車が1160mmなので、それよりも広いんです!
実際に座ってみると、そのゆとりを感じられます。
重厚感ある座席にフットレスト、カーペット敷きの床。何よりも車両内が静かです。
テーブルは前の座席の背面のほか、ひじ掛けから取り出すタイプもついています。
ちょっと残念なポイントとして、コンセント、フリーWi-Fiがありません。
約30年前の車両なので仕方ないと言えばそれまでですが、今となってはちょっと不便に感じます。
車端部の座席(11番)の窓だけ、一席分になっています。
ちなみに、特急しなの号には車内販売はありません。
車両のデッキ部分は余裕があります。
化粧室(トイレ)はちょっと狭いですが車いす対応で、通路を挟んで洗面台があります。
振子式の車両なので、カーブが連続する区間では左右に大きく傾くので、車内を移動する時には十分に気をつけてください。
ちなみにこちらは普通車。グリーングレーの座席で、シートピッチは1000mmと余裕のある設計。フットレストもついていて、普通車でも十分快適です。
但し、コンセントとフリーWi-Fiはありません。
特急「しなの」からの車窓
特急しなので移動する際には、車窓も楽しみの1つです。
長野方面へ移動する場合、塩尻までの中央本線(中央西線)の区間では、左側のA・B席から起伏にとんだ木曽川の渓谷美を楽しめます。
上松駅の手前では「寝覚めの床」という景勝地を眺めることができます。
松本駅~長野駅の区間では、右側のC・D席から善光寺平を一望できます。姨捨駅付近からのこの風景は日本三大車窓にも数えられています。
善光寺平まで下ると、春にはピンク色の桃の花が車窓を彩ります。
せっかくなら、窓枠に邪魔されずにダイナミックな車窓も楽しみたいですよね。下り(長野行き)は偶数席、上り(名古屋行き)は奇数席 がおすすめです。
名古屋から松本まで約2時間、長野まで約3時間で到着します。
グリーン車の料金
名古屋から主な区間の値段です。特急列車に乗車するには、運賃+特急料金の合計金額になるわけですが、特急しなの号のグリーン車特急料金は、普通車指定席の約2倍です。
名古屋から | 運賃 (乗車券) | 特急料金 自由席 | 特急料金 指定席 | 特急料金 グリーン車 |
木曽福島 | 2,310円 | 1,860円 | 2,390円 | 4,660円 |
松本 | 3,410円 | 2,200円 | 2,730円 | 5,000円 |
長野 | 4,510円 | 2,420円 | 2,950円 | 6,610円 |
⚠️JRの新幹線や特急列車の 指定席の特急料金 は、時期によって変わります。
通常期を基準として、最繁忙期は+400円、繁忙期は+200円、逆に閑散期は-200円となります。(あずさ号・かいじ号など一部の特急と自由席は対象外で、通年同一料金です)
■詳細:シーズン別の指定席特急料金(JR東海)
グリーン車にお得に乗る方法
特急しなの号の特急券は、えきねっとやe6489で予約購入可能ですが、券売機や窓口で紙のきっぷの発券が必要です。また、チケットレスの割引はありません。
旅行会社の宿泊セットプラン
松本や長野を旅行で訪れる方は、日帰りより宿泊する方が多いのではないでしょうか。
宿泊代も考慮すると最もお得な方法が、旅行会社が販売している「往復の交通とホテルの宿泊をセットで予約できるプラン」です。
数々の旅行会社がプランを出していますが、関西・名古屋方面と松本・長野方面の往復で使いやすいのは、日本旅行 や JTB のJR+宿泊プランです。行きと帰りで、特急しなの号の普通車指定席とグリーン車を組合わせて選ぶこともできます。
■JTBではお得なクーポンが出ることもあるので、チェックしてみてください。
但し、同じ区間の往復ではない時や、日帰りの時、途中下車したい時などは利用できません。利用の際には条件をよく確認してくださいね。
まとめ
特急しなの号のグリーン車に乗ってみた感想です。
●メリット
・最前列(1C席)からは、迫力あるパノラマビューが楽しめる。
・空いていることが多く、静かな客室で落ち着いた旅ができる。
・シートピッチと窓が大きく、快適でリラックスできる移動手段。
●デメリット
・普通車指定席と比較して、特急料金が約2倍なのに設備にあまり差がない。
・コンセント、フリーWi-Fi、車内販売が無い。
・先頭車両=ホームの端に停車するので、エスカレーターや階段から遠い。
グリーン車も普通車も座席は横4列で、普通車にもフットレストがついています。「普通車と比較した場合のコスパ」という点では、あまりメリットが感じられないかもしれません。
現在の383系電車は、2029年ごろに新型車両に置き換わるそうなので、設備やサービスのグレードアップを期待したいですね。
とはいえ、最前列からのパノラマビューを楽しみたい時や、大事な仕事がある時、贅沢な大人の旅をしたい時などに、グリーン車を選んでみてはいかがでしょうか。
名古屋から松本、長野への交通手段を検討する際に、少しでも参考になれば嬉しいです。
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