~誠実、丁寧、真心が伝わる、素朴かつ豪華な逸品と、もてなしのあふれる人気食堂「川柳」
JR名古屋駅から特急南紀に乗車し、約4時間かけてたどり着いた紀伊勝浦駅。
駅に降り立った瞬間からワクワクしています。僕にはここでどうしても食べたいグルメがあるから。
紀伊勝浦駅があるのは、和歌山県の那智勝浦町。世界遺産の熊野那智大社、那智大滝を有し、熊野古道、熊野三社を巡る拠点となる観光の街。そして、生鮮まぐろの水揚げ日本一を誇る漁業の街でもあるのです。
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「お食事処 川柳」へ直行すべし!
紀伊勝浦駅に着いたら真っ先に、お食事処 川柳さんへと向かいます。駅前から港へと続く商店街を歩くこと1分。いつか行きたいと思っていたマグロ料理のお店です。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」
若女将が優しい笑顔で迎えてくれた店内は、懐かしくて落ち着ける雰囲気。ランチのピークを過ぎた時間だったこともあり、比較的空いていてゆったり時間が流れています。
早速注文したのは、この店のイチオシで大人気の「鉄火丼」。
どうしても食べたいグルメとは、この鉄火丼です!
訪れた時は大将と若旦那が外出中で、女将と若女将のお二人で切り盛り。女将が厨房に立ち、若女将との連携プレーも抜群です。
そうこうしていると、運ばれてきました!
こちらです!
「特製ダレで味がついてますから、まずはそのまま召し上がってください。お醤油はお好みで」
との女将からおいしくいただく極意を教えていただき、いざ実食!
最初の一切れを口に入れた瞬間…
ああ、幸せの美味さ!
舌触りなめらか、トロトロとした食感。
甘辛の絶妙な特製ダレが程よく、「ウマい!」ではなく「美味い!」なのです。
この幸せを一度味わってしまったら、もう箸は止まりません。
無心に口いっぱいほおばり続けます。
ここに来てよかった…
存分に幸せを噛みしめながらいただきました。
川柳さんの鉄火丼、完食です!
リピーター続出!忘れられない味
次の予定まで少し時間があったので、若女将とお話しさせてもらいました。
「先日のこと、あるご家族がお越しになったんです。以前、修学旅行で来られた息子さんが、ここの鉄火丼が美味しかったから連れて行ってほしいと。それが相当な懇願っぷりだったそうで、遠方にも関わらずいらっしゃっていただき、嬉しい再会でした」
青春18きっぷで紀勢本線を乗りつぶす若者、昔食べたこの店の味が忘れられなくて数十年ぶりに再訪してくれる熟年さんなど、毎日のようにドラマのような出会いがあるそうです。地元の方はもちろん、遠方からのリピーターも多いというのは納得です。
エピソードを伺っていると、以前ここで働いていた方が、お孫さん夫婦と一緒にご来店。女将と久しぶりの再会だったようで、思い出話に花が咲いていました。現役時代は「だし巻き作りの達人」と呼ばれ、某有名ホテルのシェフがその技に驚き、レシピを教えてほしいと頼まれたこともあったそうです。
その達人が召し上がっていたのは「さんま寿司」とお造りの定食。程よく脂が落ちた勝浦のサンマを使った押し寿司は、鉄火丼と同じくらいファンが多いメニューです。
そして、このお店でもう1つ、重要なミッションがあることを忘れてはなりません。
あるものを予約することです。
旅の締めに「幻の駅弁」を食す!
紀伊勝浦駅の「幻の駅弁」をご存知でしょうか。駅に行けば買えるというわけではなく、予約しないと買えない駅弁。それが川柳さんの「鮪素停育(鮪ステーキ)弁当」です。
国鉄から移行した年、新生JRからご当地駅弁の開発依頼を受けて誕生したこの駅弁。マグロステーキ、さんま寿司、めはり寿司と、勝浦の名物が1つで楽しめる、とってもありがたい駅弁なのです。これを帰りの車内で食さないという選択肢はありません。
駅前の売店は臨時休業中なので、お店に取りに行きます。帰りの電車の時間に合わせて作っていただきました。
レトロな雰囲気の横長のボックスを開けると、色鮮やかな勝浦名物3点盛が目に飛び込んできます。大量生産しない、手作りのお弁当であることは一目で分かります。
甘辛い特製ダレに絡まった鮪ステーキは食べ応えがあり、うまいのは生マグロだけではないことを証明してくれました。柑橘の風味がほのかに香るサンマの押し寿司も絶品!初めていただく郷土料理のめはり寿司は高菜の漬物で巻かれたおにぎり。あっさりしていておかずたちともよく合います。
過ぎ行く車窓に映る太平洋、勝浦での楽しい時間を思い出しながら、おいしくいただきました。
心癒される手作りの駅弁。一品一品に温もりを感じられます。これが人気を集める理由なんですね。
まとめ
川柳の鉄火丼で始まり、川柳の駅弁で締めることになった今回の旅。お店に携わる方たちの、堅実なお人柄が料理にも表れています。
初めて訪れた南紀・那智勝浦は、川柳というお店に出会えたことで、おいしいマグロと人情にふれる癒し旅となりました。また絶対行きます!その時は「お帰りなさい」と言ってくださいね。
【この人~出会い~】
田宮真紀さん、田宮高子さん
新鮮なマグロや勝浦の郷土料理を「楽しみながら美味しく食べていただきたい」そう語るお二人。気さくな人柄と細かな気配りで、お客様一人ひとりを笑顔にさせる達人でもある。
【店舗データ】
お食事処 川柳(せんりゅう)
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地4-3-27
ホームページ
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≪営業時間≫ 8:00~16:00 ※鮪素停育弁当は前日までの要予約
≪アクセス≫ 紀伊勝浦駅から徒歩1分