~コスパ良すぎ!フリーきっぷの使い方と、熊野三山・南紀勝浦温泉を堪能するモデルプラン旅行記

一度は訪れてみたかった熊野詣(くまのもうで)。紀伊半島南部にある、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の熊野三山を参詣することです。
今回、「南紀・熊野古道フリーきっぷ(中辺路コース)」というお得なフリーきっぷの存在を見つけたので、実際に使ってみました。公共交通機関で東京から熊野三社を訪れる2泊3日の旅です。
(写真はクリックすると拡大します)
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」とは?
特急〔南紀〕の普通車指定席の往復に、JRと指定のバス路線が乗り降り自由となるフリー区間をセットにしたきっぷです。フリー区間によって2つのコースがあります。
[伊勢路コース]紀勢本線の三瀬谷~熊野市間と三重交通バス
[中辺路コース]紀勢本線の熊野市~紀伊勝浦間と熊野御坊南海バス、龍神自動車バス
これがとってもお得!熊野三社を巡るのに便利な[中辺路コース]の場合、名古屋市内から3日間有効で 9,970円です。
どれだけお得かというと、
・名古屋ー紀伊勝浦 特急南紀 往復 14,660円
・新宮駅ー本宮大社前 バス 往復 3,120円
・紀伊勝浦駅ー那智山 バス 往復 1,260円
・新宮駅ー紀伊勝浦駅 バス 往復 1,260円
トータル:20,300円となり、なんと、通常の半額以下になる計算。相当コスパ良すぎるのです!

通年販売で当日購入可能。但し、GW、お盆、年末年始など利用できない期間があるので注意してください。
■詳細はこちら
→ 南紀・熊野古道フリーきっぷ
宿泊先を決める際には、宿泊特典がつくところがありますので、参考にしてみてください。
■詳細はこちら
→ 南紀・熊野古道フリーきっぷ(特典詳細)
東京からどうやって行く?
熊野三山を巡る拠点となるのがJR紀勢本線の紀伊勝浦駅です。東京からは、まず名古屋まで移動します。
東京を朝6時台の「のぞみ」を使えば、名古屋を8:02発の南紀1号に乗ることができます。今回はちょっぴり移動費を節約できる「ぷらっとこだま」を使い、10:01発の南紀3号に乗る旅程を組みました。
【東京・品川ー名古屋 新幹線移動の比較】
所要 時間 | 自由席 通年 | 指定席 閑散期 | 指定席 通常期 | 指定席 繁忙期 | |
のぞみ | 約1時間30分 | 10,560円 | 11,100円 | 11,300円 | 11,500円 |
ひかり | 約1時間50分 | 10,560円 | 10,890円 | 11,090円 | 11,290円 |
こだま | 約2時間40分 | 10,560円 | 10,890円 | 11,090円 | 11,290円 |
【ぷらっとこだま】 | 約2時間40分 | ーーー | 8,800円 | 8,800円 | 10,000円 |
(補足)ぷらっとこだまの注意点
・前日までに購入する必要があります。当日は購入できません。
・途中下車ができないなど、諸条件があります。
・通常期と繁忙期で1,200円違うので利用日を必ず確認しましょう。
・利用条件や詳細をJR東海ツアーズで必ず確認してください。
2泊3日の旅程は?
できるだけ余裕を持って、ゆったりできる旅程を組みました。太字が「南紀・熊野古道フリーきっぷ」の対象区間です。
【1日目】
06:30 | 09:06 | 東京駅ー名古屋駅 こだま708号 |
フリーきっぷ購入 | ||
10:01 | 13:58 | 名古屋駅ー紀伊勝浦駅 特急南紀3号 |
昼食、幻の駅弁を予約 | ||
14:10 | 14:50 | ◆紀の松島めぐり [特典]乗船料1割引 |
◆くじらの博物館 [特典]入館料100円引 | ||
16:00 | 16:15 | くじら浜公園ー勝浦観光桟橋 |
勝浦観光桟橋ーホテル浦島 | ||
◆洞窟風呂 |
【2日目】
10:06 | 10:29 | 紀伊勝浦駅ー新宮駅 JR普通列車 |
10:40 | 11:39 | 新宮駅ー本宮大社前 熊野御坊南海バス |
◆本宮大社 昼食はここで | ||
13:26 | 14:20 | 大斎原前ー速玉大社前 熊野御坊南海バス |
◆速玉大社 | ||
15:05 | 15:09 | 速玉大社前ー新宮駅 熊野御坊南海バス |
15:30 | 16:09 | 新宮駅ー那智駅 熊野御坊南海バス ※15:51発 JR普通列車も利用可 |
◆那智駅交流センター | ||
17:32 | 17:37 | 那智駅ー紀伊勝浦駅 JR普通列車 ※17:39発 バスも利用可 |
【3日目】
07:30 | 07:49 | 紀伊勝浦駅ー大門坂 熊野御坊南海バス |
◆熊野那智大社 ◆那智山青岸渡寺(三重塔) [特典]拝観料2割引 | ||
◆那智の滝 | ||
11:04 | 11:28 | 那智の滝前ー紀伊勝浦駅 熊野御坊南海バス |
幻の駅弁の受取 | ||
12:22 | 16:10 | 紀伊勝浦駅ー名古屋駅 特急南紀6号 |
南紀・熊野古道フリーきっぷ を購入する
新幹線で名古屋駅に着いたら、いったん改札を出て、「きっぷうりば」もしくは「サポートつき指定席券売機」で購入します。今回は(中辺路コース)を購入します。初めて購入する場合は「きっぷうりば」がおすすめです。分からないことがあれば駅員さんに相談することができます。
特急券は紀伊勝浦駅までと伝えましょう。指定席が割り当てられます。特急南紀号のおすすめの座席は海が見えるA₋B席です。購入時に駅員さんに伝えましょう。帰りの南紀号の指定席もここで購入しておくことをおすすめします。
✅ 行きと帰りのきっぷ
✅ 特急南紀号の指定席券
✅ 熊野御坊南海バス引換券
で構成されています。
スムーズに購入できれば10分もかからないので、地下街などで名古屋のモーニングを堪能してはいかがでしょうか?
南紀・熊野古道フリーきっぷ の使い方
「特急南紀」号に乗車する
とても窓が広く明るい車内です。せっかくなので、窓枠に邪魔されない席がよいのですが、車両によって異なったり、多客期には増結したりするので、よっぽど鉄道好きの方でないと事前に把握することは難しいと思います。とりあえず指定席を確保して、乗車後、車内に空席があるようなら、車掌さんに席を移れないか相談してみましょう。
特急南紀は1996年から「(ワイドビュー)南紀」という愛称でしたが、2022年3月12日から(ワイドビュー)がとれて、シンプルな「南紀」に戻りました。
列車は関西本線ー伊勢鉄道ー紀勢本線と進みます。途中「伊勢鉄道線では一部の企画きっぷは使えないため、別途運賃の支払いが必要です」といった車内放送が入りますが、このきっぷには関係ないのでスルーしてOK。
ダイナミックな車窓は濃尾平野から山深いエリアへと入ります。海が見えてきたら目的地が近づいてきたことになります。
「フリー乗車券」に引き換える
約4時間、おつかれさまでした。紀伊勝浦駅に到着です。「ゆき」の切符はここで回収されます。
改札を出て、正面の階段を降りると、観光案内所と足湯があります。その先に熊野御坊南海バス 紀伊勝浦駅前出札所があるので、忘れないうちに「バス引換券」を「フリー乗車券」に交換しておきましょう。
「幻の駅弁」を予約する
駅前から港に向かう商店街を進みます。徒歩1分のところにお食事処 川柳があります。ここの鉄火丼が絶品ですから、昼食にいかがでしょうか。
帰りの電車に合わせて、幻の駅弁「鮪素停育(鮪ステーキ)弁当」を予約します。この駅弁、前日までに予約しておかないと食べられません。
帰りに受け取るのを忘れないように。川柳さんの営業時間は8:00~16:00です。
「紀の松島めぐり」と「くじらの博物館」を楽しむ
遊覧船で奇礁奇岩の島めぐりです。
川柳から徒歩5分ほどで勝浦観光桟橋に着きます。チケット購入時に「南紀・熊野古道フリーきっぷ(かえり)」を提示すると、乗船料が1割引きになるので、忘れずに提示しましょう。※実は…公式サイトにある特別割引券(大人200円割引)が若干お得です。
途中の「太地くじら浜公園」で下船して、くじらの博物館を見学します。こちらも「南紀・熊野古道フリーきっぷ(かえり)」を提示すると入館料が100円割引になります。時間帯によっては、イルカショーやくじらショーも見ることができます。
「洞窟風呂」と絶景を楽しむ
勝浦観光桟橋からホテル浦島への無料送迎連絡船が出ており、5分ほどで到着します。連絡船は随時運航です。まるで巨大な温泉テーマパークのようなホテル浦島。日帰り入浴ができるので、有名な洞窟風呂で、旅の疲れを癒します。
ホテル浦島へ宿泊の場合は、宿泊特典として入浴剤がもらえます。
ホテル浦島以外の宿泊先の場合は、浦島桟橋発の最終便は19:20です。乗り遅れないように気をつけてください。
「熊野本宮大社」への行き方
【紀伊勝浦駅から新宮駅へ向かう】
行き方は2通りあります。
[バス]熊野御坊南海バスが約30分毎に出ていて、所要時間は40~50分ほど。
[電車]普通列車と特急「南紀」「くろしお」の自由席が使えますが、1時間~2時間おきと本数少なめ。所要時間は20分程度です。
【新宮駅前から本宮大社前行きのバスに乗る】
新宮駅前には本宮大社行きのバス乗り場がいくつかあります。本宮大社へは複数のバス会社が運行していますが、フリー乗車券で乗れるのは「熊野御坊南海バス」です。他社のバスには乗れません。「熊野御坊南海バス」の乗り場は観光案内センターに併設されています。
「バス引換券」をまだ「フリー乗車券」に換えていない場合は、ここで引き換えることができます。
■熊野御坊南海バス路線図・時刻表はこちら
→ 新勝線(新宮駅ー紀伊勝浦駅)
→ 川丈線(本宮大社・湯の峰温泉方面)
60分ほどで終点の本宮大社前バス停留所です。そこから本宮大社の参道はすぐです。
「大斎原」への行き方
荘厳な本宮大社へ参拝したら、大斎原(おおゆのはら)へ向かいます。
参道入口まで戻り、横断歩道を渡ると小さな石柱が立っており、民家の間の小道を進みます。
すぐに大鳥居が見えます。徒歩10分ほどで大斎原です。
大斎原からバス停までは徒歩3分程度。大斎原前から本宮大社前にかけて、土産物店、飲食店、カフェが並んでいます。昼食はここでとると良いです。
「熊野速玉大社」への行き方
【熊野本宮大社から】
本宮大社前、本宮行政局前、大斎原前のいずれか、最寄りのバス停から「熊野御坊南海バス」の新宮駅行きに乗り、「速玉大社前」で下車します。熊野速玉大社はバス停から徒歩5分ほどのところにあります。
【新宮駅から】
熊野速玉大社は新宮の市街地にあります。新宮駅からは徒歩20分程度ですので街並み散策しながら訪れることもできます。
「熊野御坊南海バス」を利用すると約4分で「速玉大社前」に到着します。「紀伊勝浦駅行き」「本宮大社前行き」「高田行き」が利用できるので便利です。
■熊野御坊南海バス路線図・時刻表はこちら
→ 新勝線(新宮駅ー紀伊勝浦駅)
→ 川丈線(本宮大社・湯の峰温泉方面)
「広大なビーチ」と「日帰り温泉」を楽しむ
JR那智駅の駅舎は那智大社をモチーフにした社殿風の建物。そのすぐ後ろは約800m続く広大なビーチです。気持ちの良い潮風に吹かれながら太平洋の水平線をぼーっと眺めてみるのもいいですね。
駅に隣接して、那智駅交流センターがあります。ここには町営の公衆浴場「丹敷(にしき)の湯」のほか、「熊野那智世界遺産情報センター」や「農産物直売所」があります。
【那智駅の行き方】
[電車]JRは普通列車が1~2時間おきに停車します。特急は停まらないので気をつけてください。
[バス]新宮駅、速玉大社からは紀伊勝浦駅行きのバスで30~40分、紀伊勝浦駅からは新宮駅行き、那智山行きのバスで10分ほどです。
「熊野那智大社」への行き方
【紀伊勝浦駅から】
大きな荷物はホテルに預かってもらうか、紀伊勝浦駅のコインロッカーに預けて身軽になっておいてください。靴はスニーカーなどウォーキングに適したものにしましょう。苦行が待っています(笑)。
紀伊勝浦駅前から那智山行きのバスに乗車し、40分ほどで大門坂バス停に着きます。2~3分歩いたところから大門坂が始まります。
大門坂をワープする場合は、そのまま終点の那智山バス停まで乗車してください。
大門坂を上りきると那智山観光センターと那智山バスターミナルです。
土産物店や食堂が並んでいますので、休憩を兼ねて昼食をとることもできます。
ここから467段の石段の参道が始まります。覚悟を決めてがんばるしかありません。
登り切れば熊野那智大社、すぐ隣に青岸渡寺があります。青岸渡寺からは三重塔と那智の滝が良く見えます。
青岸渡寺から那智の滝のある飛瀧神社を目指します。ここも石段が続きます。
飛瀧神社の入口に那智の滝前バス停があり、帰りはここからバスに乗れます。
■熊野御坊南海バス路線図・時刻表はこちら
→ 那智山方面
「幻の駅弁」を受け取る
紀伊勝浦駅に戻ったら、帰りに川柳さんに立ち寄って、幻の駅弁「鮪素停育(鮪ステーキ)弁当」を受け取るのを忘れないようにしてくださいね。
ぜひ、帰りの特急南紀の中で、楽しい思い出に浸りながら召し上がってください。
(補足)特急南紀の指定席券を、紀伊勝浦駅で購入する場合の注意点
みどりの窓口(有人カウンター)はありませんので、みどりの券売機プラスで発行します。呼び出しボタンでオペレーターを呼び出し、特別な操作をしてもらう必要があります。
繁忙期にはオペレーターにつながりにくく、待たされることがありますので、そんな時は駅員さんに声をかけるとスムーズです。
まとめ
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」を使って、公共交通機関だけで熊野三社巡りと温泉を堪能することができます。2泊3日あれば時間的にも余裕があり、しかもお得に旅ができます。
名古屋からの鉄道・バスにかかる交通費は通常の半額以下という試算になります。
熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社を参拝されるとき、少しでも参考になれば嬉しいです。
■詳細はこちら(JR東海)
→ 南紀・熊野古道フリーきっぷ
宿泊先を決める際には、宿泊特典がつくところがありますので、参考にしてみてください。
■詳細はこちら(JR東海)
→ 南紀・熊野古道フリーきっぷ(特典詳細)