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鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス |三陸鉄道とBRTを乗りつぶす、2泊3日の一人旅(2)

∎国内旅行記

~コスパ良すぎ!超破格のフリーきっぷで行く乗り鉄旅、三陸のローカル線を巡るモデルプラン旅行記

乗り鉄して旅先で駅弁を食べる。鉄道旅行の醍醐味ですよね。

今回の旅のルートは、「BRT」「三陸鉄道」、そして「JR山田線」を全線乗りつぶして、ご褒美に幻の駅弁「うに弁当」をいただくという、けっこうガッツリな鉄旅プラン《後編》です。

※《前編》はこちら

© OpenStreetMap contributors: Lisense

2020年に「三連休東日本・函館パス」(現在は発売終了)を使って行った旅程を、2023年版にアレンジしてご紹介します。「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」を使えば、とてもお得に回れますよ。

※「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」の詳細はこちら

三陸鉄道 旧南リアス線区間

盛駅から三陸鉄道で釜石駅へ向かいます。三陸というと海のイメージですが、特にこの区間はトンネルが多いんです。というのも、三陸の地形を見ればその理由が分かります。

出典:国土交通省国土地理院

平地がない!入り江と湾が繰り返されるので、隣の街へ行くには必ず山を越えなければならない険しい地形です。

一方で、多くの海の恵みをもたらせてくれる天然の良港でもあるので、養殖をはじめとした漁業が盛んな地域です。

途中には「恋し浜」というロマンチックな名前の駅もあります。小さな無人駅ですが、恋愛のパワースポットとして人気となり、待合室に吊るされたホタテ貝の絵馬掛けや、ホームに設置された幸せの鐘を鳴らすことができます。

恋し浜駅
盛駅 三陸鉄道の車両

トンネルを抜けると海の見える谷間に駅があり、またトンネルに入るを繰り返します。

急に景色が街に変わり、赤銅色の鉄橋を渡ると釜石駅に到着です。早朝に東京を出発し、1日でここまでやってきました。

釜石駅を出ると、目の前が巨大な製鉄所なのにはちょっと驚きましたよ。今晩は釜石で宿泊します。

三陸鉄道とは?

釜石駅 三陸鉄道の車両

盛駅ー久慈駅の163kmを結ぶ路線で、1984年に日本初の第三セクター鉄道として開業しました。現在は全線を通して「リアス線」と呼ばれていますが、開業当時は、南リアス線(盛ー釜石)と北リアス線(宮古ー久慈)の2つの路線で、その間の釜石ー宮古間はJR東日本のJR山田線でした。

2011年の東日本大震災では大きな被害を受けましたが、南北リアス線は3年後の2014年に運転を再開。残ったJR山田線区間は、JR東日本が復旧工事を行った上で三陸鉄道に移管されることになり、2019年に三陸鉄道が引き継いで運行を再開しました。

2013年、沿線の久慈市が舞台となったNHKの朝ドラ「あまちゃん」が大ヒット。ドラマでは北三陸鉄道として登場した三陸鉄道も、観光スポットとして脚光を浴び、今なお根強いファンが訪れています。

JR釜石線~JR山田線をぐるっと!

おはようございます。2日目は釜石駅から出発です。今日はJR釜石線で盛岡へと向かい、JR山田線で宮古を経由して、いったんまた釜石に戻ってきます。

銀河鉄道がモチーフ JR釜石線

乗車するのは「快速はまゆり」号。盛岡まで約2時間20分かけて走ります。快速列車にしては珍しくリクライニングシートの指定席もあります。

釜石線はその前身の岩手軽便鉄道が、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のモデルになったとも言われています。それに因んで、童話をモチーフにしたSL銀河が運行されていたり、駅名標が銀河鉄道をイメージしたものになっています。全駅に宮沢賢治が愛用した「エスペラント語」の別名が付いているのもおもしろいですよ。

釜石駅:JRの駅舎の隣に、小さな三陸鉄道の駅舎(右奥)が並んでいます
釜石駅:JRの駅舎の隣に、小さな三陸鉄道の駅舎(右奥)が並んでいます
めがね橋を渡るSL銀河(2015)
めがね橋を渡るSL銀河(2015)

JR釜石線の見どころと言えば、陸中大橋駅付近のオメガループ線です。仙人峠の高低差を克服するために、大きくカーブを描いて線路が敷かれています。陸中大橋を過ぎると、さっき通ったはずの駅が眼下に見えるという不思議な体験ができます。

陸中大橋駅付近の地図:オメガループ
陸中大橋駅付近の地図:オメガループがよく分かります
© OpenStreetMap contributors: Lisense
JR花巻駅
JR花巻駅

途中、柳田國男の『遠野物語』で知られる遠野駅を通り、花巻駅で東北本線と合流します。進行方向が変わって、30分ほど後ろ向きで走って盛岡駅に到着します。

ひたすら山間を走る JR山田線

盛岡からはJR山田線に乗り換え、快速リアス号に乗車します。この山田線、秘境ローカル線としても有名で、盛岡ー宮古間を走破する列車は1日4往復しかありません!

盛岡から15分ほどの上米内(かみよない)までは人家があるのですが、ここを過ぎると一気に山の中へと入ります。しかも、次の停車駅の陸中川井まで1時間20分も停まりません。

JR山田線 上米内駅
JR山田線 上米内駅

途中の景色はずーっと緑色。よくまあこんなとこに線路を通したなあと思うほど、木々の中をひたすら走ります。

ちょっと怖くなるくらい延々と山の中を走り続けたので、陸中川井駅周辺でまとまった集落を見るとホッとします。またすぐ山の中に入るのですが、並行して流れる閉伊川(へいがわ)が車窓に変化を与えてくれます。

千徳駅を過ぎると宮古市街地に入り、ほどなく宮古駅に到着します。盛岡から2時間20分。おつかれさまでした。

三陸鉄道 旧山田線区間

宮古駅はJR山田線と三陸鉄道の接続駅。駅舎は1つで共同で使用しています。ここから南の釜石へ向かう区間も元はJR山田線だったのですが、震災復旧にあたり三陸鉄道に移管されました。

JR・三陸鉄道宮古駅
宮古駅
陸中山田駅
陸中山田駅

ちなみに、山田線の線名となった陸中山田駅は三陸鉄道に移管された区間内にあるので、JR山田線は山田を通らないのに名前だけ残った形になっています。

宮古駅からしばらくは内陸部を進みますが、陸中山田駅から浪板海岸駅までの間は三陸の海を眺めることができます。

次の吉里吉里(きりきり)を過ぎると、突如巨大なコンクリートの壁が見えてきます。海岸線に沿って造られた防潮堤です。この先にある海を見ることはできません。旅行者としては残念ですが、地元の人々の生活を守るためには仕方のないことなのかもしれません。

大槌駅、鵜住居駅の付近は線路や駅施設が真新しいことに気がつきます。津波によって路盤が丸ごと流されて、復旧時にまるごと一新したとのこと。いかに被災が大きかったかを物語っています。

大槌駅は駅舎、線路、ホームまるごと一新
大槌駅
釜石駅

宮古から約1時間30分で釜石駅に到着です。今回の旅程ではここから折り返して宮古に戻ります。

私がこの旅をした2020年当時、どういうわけか行きも帰りも満員!ずっと立ちっぱなしでした。観光客と見受けられる(自分も含めて)方も多いのですが、それ以上に、途中駅での乗降も多く、地元の方々が積極的に利用されているようだったので、それはそれで嬉しいことです。

明日の「うに弁当」を予約する

今日忘れないようにしておきたいこと!「三陸リアス亭」に電話をかけて、明朝に久慈駅で購入する「うに弁当」を予約しておきます。「うに弁当」は限定20個+予約分しか販売しないので、確実にGETするには前日までに予約しておくことをおすすめします。

三陸リアス亭
≪営業時間≫ 7:00~16:30(不定休)
≪電話番号≫ 0194-52-7310

三陸鉄道 旧北リアス線

3日目最終日。東京に帰ることも考慮して、ちょっと朝早めのスタートにします。

朝ドラの舞台になった旧北リアス線の区間ですが、南リアス線同様にトンネルが多く、海はあまり見えません。地形的に海岸線から少し内陸に入ったところを、長いトンネルで貫いているので仕方ないことです。

とはいえ、海に近い立地の田老駅は駅舎流失、島越駅は線路やホームまでも流されてしまい、全線復旧には3年かかっています。

普代駅から久慈駅の間は海が見える区間が多くなります。絶景ポイントでは徐行運転をしてくれるのは観光客にとって嬉しいサービスです。

宮古駅
鉄道と海の風景(大沢橋梁)
三陸鉄道(大沢橋梁)と海の風景

あまちゃんのロケ地になった田野畑駅、堀内駅、野田玉川駅は、聖地巡礼スポットとしても人気です。テレビで見たことある光景が目の前に現れると、懐かしくもあり嬉しい気分になります。

宮古から1時間30分ほどで久慈駅に到着します。

久慈駅「うに弁当」を購入する

久慈駅に到着したら真っ先に、三陸鉄道の駅舎内にある立ち食いそば店「三陸リアス亭」へと向かいます。昨日予約しておいた「うに弁当」を購入します。

三陸鉄道 久慈駅
久慈駅構内の三陸リアス亭

うに弁当は限定20個+予約分のみの販売です。繁忙期には午前中に売り切れてしまうこともあるそうですから、確実にGETしたいのであれば予約しておくことをおすすめします。

天気も良かったので、駅前のベンチで早速実食します!

久慈駅駅弁三陸リアス亭うに弁当

蓋を開けるとそこには、うに!ウニ!雲丹!隙間なく一面に広がるウニ!弁当1つに三陸沖産の蒸しウニが5、6個使われているそうです。ご飯にもウニが混ぜ込んであり、なんとも贅沢なお弁当です。口いっぱいほおばれば、磯の香りに包まれ、とても幸せな気分に!

豪華な朝食となりました。ごちそうさまでした!

【店舗データ】
三陸リアス亭
岩手県久慈市中央3-38-2 三陸鉄道久慈駅舎内
≪営業時間≫ 7:00~16:30(不定休)
≪電話番号≫ 0194-52-7310

JR八戸線に乗車

「うに弁当」を食べ終えたら、JR久慈駅に移動します。久慈駅はJRと三陸鉄道の駅舎が隣同士に並んでいます。

JR久慈駅
JR八戸線

ここから天然記念物である「蕪島」を散策してから東京に戻ります。JR八戸線で最寄駅の「鮫(さめ)」駅に向かいます。

八戸線ではぜひ海側の景色を楽しんでほしいです。青い空と海、白い砂浜、緑の木々、かと思いきや、不思議な形の奇岩や、荒々しい岩礁など、風光明媚な三陸海岸の車窓は飽きることがありません!

蕪島(かぶしま)を散策する

久慈から約1時間20分で鮫(さめ)駅に到着です。珍しい駅名(地名)ですが、由来は「沢」がなまったとか、「サメ」がよく獲れたからなど諸説あるようです。

インパクトのあるのは駅名だけでなく駅前も!

鮫駅
鮫駅前には鮫のモニュメント!
蕪島神社
蕪島神社

鮫駅から徒歩15分ほどで蕪島神社に到着です。ウミネコの繁殖地として知られています。かつては島だったのですが、埋め立てで地続きになったそうです。

3月上旬~8月上旬には数万羽が集まってくるそうですから、「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」の旅にはちょうど良いタイミングかもしれません。

ちなみに、参拝中にウミネコの糞に当たってしまった人!逆にここではラッキーです!運気が上昇すると言われていて、糞が付いた状態で社務所にいけば会運証明書を発行してくれるそうです。

もっと自然を満喫したい!方は、鮫駅と種差海岸駅を結ぶ遊覧バスを利用して、種差海岸をウォーキングするのもおすすめです。

蕪島神社
【参拝時間】8時45分~17時20分

種差海岸遊覧バス
【運行日】4月中旬から11月中旬は毎日、冬季は土・日・祝日のみ運行

蕪島神社を満喫したら、鮫駅へと戻り、再びJR八戸線で八戸駅を目指します。

絶品駅弁!三咲羽や「三八弁当」

鮫から約30分で八戸に到着です。八戸線と東北新幹線、青い森鉄道が乗り入れる大きな駅です。

ここ八戸駅でぜひ購入していただきたい駅弁が「三八弁当」です。しめ鯖とイカの一夜干しのお弁当ですが、このクオリティが駅弁か!と思えるほど、衝撃的に美味しい駅弁です。一度食べたら忘れられなくなること間違いなしです!

八戸駅の新幹線改札内売店のほか、改札外のNewDays、ぐるっと遊でも販売されています。

※実食レポートはこちら

2泊3日の鉄旅もこれで終了です。帰りの新幹線の中で、美味しい三八弁当をほおばりながら、楽しい思い出に浸ります。

2泊3日の旅程は?

できるだけ余裕を持って、ゆったりできる旅程を組みました。とはいえ、乗り鉄仕様なので、乗り物に乗っている時間は長いです。

【1日目】 

 06:0408:12 東京駅ー古川駅
やまびこ51号
 08:2308:35 古川駅ー小牛田駅
JR陸羽東線
 08:4509:00 小牛田駅ー前谷地駅
JR石巻線  
 09:0309:26 前谷地駅ー柳津駅
JR気仙沼線
 09:4211:31 柳津駅ー気仙沼駅
気仙沼線BRT
散策
 13:4315:07 気仙沼駅ー盛駅
大船渡線BRT
散策
 16:4917:36 盛駅ー釜石駅
三陸鉄道 リアス線  
時刻は2023年2月のものに合わせています。

◆奇跡の一本松プラン
高田松原復興祈念公園の津波伝承館や奇跡の一本松を見学し、隣接する道の駅 高田松原で食事をとることができます。
(気仙沼)11:57ー12:30(奇跡の一本松)14:16ー(盛)15:07

もっと乗り鉄プラン
釜石駅の到着が遅くなりますが、大船渡線の鉄道区間である一ノ関まで往復することもできます。
(気仙沼)12:23ー13:42(一ノ関)14:17ー15:41(気仙沼)16:12ー17:36(盛)18:20ー19:07(釜石)

【2日目】 

 07:4110:01 釜石駅ー盛岡駅
JR快速はまゆり2号
休憩
 11:0913:30 盛岡駅ー宮古駅
JR快速リアス  
休憩
 14:1315:39 宮古駅ー釜石駅
三陸鉄道 リアス線
休憩
 16:2118:29釜石駅ー宮古駅
三陸鉄道 リアス線
時刻は2023年2月のものに合わせています。

【3日目】 

 06:5508:32宮古駅ー久慈駅
三陸鉄道 リアス線
三陸リアス亭
「うに弁当」を購入
 09:1710:38 久慈駅ー鮫駅
JR八戸線
蕪島観光
 12:0312:32鮫駅ー八戸駅
JR八戸線
八戸駅
「三八弁当」を購入
 13:0716:04八戸駅ー東京駅
時刻は2023年2月のものに合わせています。

◆ふらっとプラン
自由席のある新幹線であれば乗り降り自由ですから、例えば、ふだんは絶対に降りることのないであろう駅に、ふらっと降りてみることもできちゃいます。見知らぬ街で新たな出会いを期待!?

※今回の旅程では、BRT気仙沼線の気仙沼駅前~上鹿折駅前間、BRT大船渡線の陸前高田~陸前矢作間は乗車していないので、「完全乗りつぶし」ではありません。予めご了承ください。

※《前編》はこちら

まとめ

乗り鉄を目的とした旅でしたが、その車窓からは巨大な防潮堤、市街地の更地、そして鉄路が断たれた場所など、震災の爪痕が至るところに見え、いろいろ考えさせられるでもありました。

と同時に、三陸鉄道の復旧や、BRTという新たな交通体系の取り組みなど、確実に進む復興も体感することができました。

今回、この地を訪れてみて、現地の人々の並々ならぬ努力やたくましさ、未来の創造へと繋がる希望を持つことができ、訪れた私の方が勇気をもらった形になりました。

こうして三陸の旅ができたことを本当にありがたく思います。

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