~「南紀・熊野古道フリーきっぷ」で熊野那智大社・那智の滝に行ってみた。
公共交通機関で東京から熊野三社を訪れる2泊3日の旅。今日は、紀伊勝浦駅から熊野那智大社と那智の滝を訪れます。
「南紀・熊野古道フリーきっぷ(中辺路コース)」というお得なフリーきっぷの存在を見つけたので、実際に使って熊野詣(くまのもうで)をしてみました。
今日の行程の交通費はすべてフリーきっぷでカバーできます。
※南紀・熊野古道フリーきっぷの購入方法はこちらを参考にしてください。
「熊野那智大社」への行き方
大きな荷物はホテルに預かってもらうか、紀伊勝浦駅のコインロッカーに預けて身軽になっておいてください。靴はスニーカーなどウォーキングに適した服装と装備にしましょう。苦行が待っています(笑)。
「バス引換券」を「熊野御坊南海バス フリー乗車券」に換えます。
[バス乗車券引換場所]は、紀伊勝浦駅前の熊野御坊南海バス 紀伊勝浦駅前出札所です。改札を出て、正面の階段を降り、観光案内所と足湯を過ぎたその先にあります。
紀伊勝浦駅前から「那智山」行きのバスに乗車し、40分ほどで「大門坂」バス停に着きます。
大門坂をワープする場合は、そのまま終点の「那智山」バス停まで乗車してください。
■熊野御坊南海バス路線図・時刻表はこちら
→ 那智山方面
大門坂に挑む!
バス停を降りると、目の前は大きな無料駐車場になっています。トイレや案内板もありますから、ここで準備しておきましょう。大門坂の入口はここから2~3分歩いたところにあります。
入口だけ舗装されていますが、すぐに石畳の道になります。
鳥居をくぐり赤い小さな橋を渡ると大門坂茶屋。そのすぐ先、大きな2本の杉の木「夫婦杉」が迎えてくれます。ここから杉並木に囲まれた石段が始まります。熊野古道らしい光景です。
杉並木と石段が延々と続きます。最初は木々に囲まれて清々しくもあったのですが、段々と一歩一歩進むことに集中するようになります。
目に映る光景は杉並木と石段だけ。終わりが見えないこともあり、完歩できるか少し不安になりましたが、どうすることもできないので進むしかありません。
大門坂を紹介するいくつかのサイトでは「石段の上りですが、約1.3km・約40分と距離も短く、歩きやすいコースです」と書かれています。正直言います、歩きやすくないです。なめてかかってはいけません。
必死に歩を進めること約30分、木々がとぎれ空が見えてくると大門坂のゴールです。
開けた場所に到着します。ベンチがあるので休憩するも良し。ここから巡礼道は右とのお示しが。表示のとおり進むと裏道のようなところを歩きます。と、目の前に階段が!ここからまた階段を上ります。追い飯ならぬ追い階段(苦笑)…
その追い階段を上りきると、「那智山観光センター」が現れました。久々に現世に戻ってきたような感覚です(笑)。休憩場所、食事、お土産、ひととおり揃っています。この観光センターの裏側に「那智山」バス停留所があります。
(補足1)大門坂を下る方も多くいらっしゃいました。上りよりも下りの方が足元に注意が必要だと感じました。特に雨上がりなど濡れている石段を下るときには慎重に。
(補足2)途中で車道と近接する箇所があります。ここには「熊野古道」バス停があります。「大門坂」と「那智の滝前」の間のバス停です。大門坂フルコースは自信がないという方には、このバス停で下車してハーフコースとして歩くのもアリだと思います。
食事する、休憩する
那智山観光センターを背にして進むと、左頭上に「参道入口」の看板があります。
参道に入らず、道路を直進すると、那智の滝に向かうことになります。この道路沿いに飲食店や土産物屋が並んでいます。これから挑む467段の階段に備え、ここで食事や休憩をとるのもおすすめです。
参道入口すぐのところにある「和か屋本店」さん。土産物店とカフェが併設されており、店内は広くてとてもきれいです。那智勝浦名物「お滝もち」をいただきました。小腹を満たすのにちょうどよいです。
では、いよいよ那智大社を目指します!
467段の石段、表参道に挑む!
参道を「歩く」ではなく「挑む!」です。467段、覚悟を決めて挑みます。
参道入口を入ると、早速石段です。長い階段が続いています。ところどころに踊り場があり、ベンチも置かれていますから、自分のペースでゆっくりと上りましょう。
石段の左右には土産店や那智黒石の硯(すずり)店、お茶屋などが並んでいます。
石段はしんどいのですが、那智大社に近づいていると思うと…いや、戻ったところでどうにもならないこともあって、とにかく前に歩を進めます。
長い階段を上り終えるとその先に、大きな朱塗りの「一の鳥居」が見えてきます。鳥居をくぐると手水舎があるので浄めましょう。熊野那智大社の社殿はもうすぐ!だと思うのですが…拝殿は見えず、その先にはさらに階段が続きます。
その階段を上ると「二の鳥居」が見えます!二の鳥居をくぐると拝殿です。ラストスパートです!
那智大社に参拝する
おつかれさまでした!今度こそ「熊野那智大社」の境内です。
鳥居から右手に鮮やかな朱塗りの堂々とした拝殿があります。早速お参りしましょう。拝殿前には護摩木(ごまぎ)があるので、煩悩を一緒に焼いて、清らかな心でお参りします。
「無事にここまでたどり着くことができました、ありがとうございます」
お願い事というよりも、とにかく神様に御礼を伝えたい。そして自分が頑張ったことを報告したい。長~い石段を上りきったいま、そういう境地です。
拝殿の左側には、御縣彦社(みあがたひこしゃ)があります。手前にあるのは、熊野の神様のおつかいである三本足のカラス・八咫烏(やたがらす)の像。その後ろには八社殿があります。
拝殿の右側にはおみくじや御守りを売っている授与所と、天然記念物の御神木、巨大なクスノキがあります。このクスノキは幹の中が空洞になっていて「胎内くぐり」ができます。
このクスノキを先に進むと、すぐに那智山青岸渡寺(せいがんとじ)です。
那智山青岸渡寺に参拝する
熊野那智大社に隣接して「那智山青岸渡寺(せいがんとじ)」があります。
那智山青岸渡寺の本堂は大きく立派な木造建築。とても迫力があります。境内にはこちらも天然記念物の立派なタブノキがあります。
そして、この青岸渡寺から、遠くに「三重塔」と「那智の滝」が見えるのです!この景色、見たかった!
ここから三重塔を経由して、那智の滝へと向かいます。
舗装された道路を進み、案内板のとおり右手の階段を下っていきます。すると三重塔の手前で絶景に出会えます。
ここから那智の滝をご神体とする飛瀧神社(ひろうじんじゃ)へと向かいます。
飛瀧神社へ向かう
三重塔から「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」へと向かう道は、変化に富んでいます。
舗装された道路を下っていくと、途中で草木に囲まれたのどかな道へと誘導されます。案内板がちょこちょこ出ているので迷うことはありませんが、本当にこの道で合ってる?と思うような、木立に囲まれた未舗装の道や石段を下ったりもします。
飛瀧神社への近道となる「裏参道」へと進みます。大門坂をもうワンランクハードにしたような石段を下っていきます。この石段は鎌倉時代からあるそうで、これぞ熊野古道!といった雰囲気を存分に味わえるのですが、階段の傾斜が急で、足場は決してよくありません。慎重に自分のペースで進んでください。
森を抜け、石段を下りきると、舗装道路に出ます。ちょうどヘアピンカーブの頂点にあたるところ。ここに「那智の滝前」バス停があり、その先に「飛瀧神社」の入口となる鳥居が見えます。
帰りはここからバスに乗ります。
ここからがいよいよ那智の滝への最終ルートです。飛瀧神社の参道へと向かいます。
飛瀧神社入口の鳥居をくぐると…また石段です。
那智の滝に圧倒される
那智の滝へと向かう石段は、先ほどまで下ってきた裏参道の石段に比べれば緩やかで、ずいぶん歩きやすく整備されています。石段を下ること数分…見えました!
「那智の滝」と「飛瀧神社」です。ようやく出会えました!
鳥居の向こうに流れ落ちる壮大な滝。断崖絶壁を垂直に落下するその姿は圧巻!
那智の滝は高さが133m、滝壺の深さが10m。茨城県の袋田の滝、栃木県の華厳の滝とともに、日本三大瀑布に数えられています。
飛瀧神社には鳥居はありますが、神殿はありません。「那智の滝」自体が御神体なので、滝に向かって参拝します。
ここからの姿も十分に見事なのですが、もっと近くで見ることができる「御滝拝所」があるので、行ってみます。有料ゾーンになっており、大人300円、中学生以下は200円を納めます。
御滝拝所への道は…もちろん石段です。途中には「延命長寿のお瀧水」があり、神聖なお水をいただくことができます。100円で神盃を購入し、お水をいただきます。
少し登ったところに朱塗りの柱で囲まれた舞台が現れます。ここが御滝拝所です。
御滝拝所から見上げる那智の滝。
間近に迫る水しぶきと轟音、ものすごい迫力です!
太古から神として崇められている理由がここに来て分かるような気がしました。迫力もさることながら、幻想的で神秘的な空気に包まれるこの感覚。ぜひ直接感じていただきたいです。
滝を見終わった後は順路にしたがって進み、有料ゾーン入口鳥居のある場所に戻ってきます。ここでも御守りやお土産を購入することができます。
これで予定していた行程はすべて達成しました。
下ってきた石段を上り、那智の滝前バス停へと戻ります。バス停の周辺には飲食店がありますので、バスの時間まで休憩することもできます。
まとめ
石段を上る本格的な熊野古道(大門坂)~那智大社~那智の滝というフルコースを堪能する場合、余裕を持って3時間くらい見ておくとよいでしょう。
大門坂をワープして、表参道(石段)からスタートする場合は、バスの終点「那智山」で下車します。
全体を通してほぼ石段を上り下りしますので、ウォーキングに適した服装と装備であることは必須です。焦らず、自分のペースで、一歩一歩進みましょう。
大自然の迫力、神秘、そして癒し。
神秘的なエネルギーに包まれ、感性を磨く旅になること間違いありません。
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那智の滝 お土産
「お滝もち」
那智の滝の流れをイメージした長~い形のお餅。上品な味のつぶあんが、お茶と良く合います。熊野那智大社の参道(階段)入口にあるお茶屋さん「和か屋本店」の名物です。